ドルオタちょあよ

ドルオタ美大生のちょあちょあ日記

【少女地獄】「なんでもない」の登場人物、姫草ユリ子の少女願望が凄まじい

こんにちは~

YouTubeを見ていたらふと絵がとっても綺麗な動画が出てきて


【みきとP/ mikitoP】少女ふぜゐ /GUMIver.**ShojoFuzei/GumiVer.

 

見たらすごくよかった!!

今のボカロってこんなおしゃれなんですか!?

 

このPVのストーリー、なんか見覚えあるなぁ…と思ったら


思い出した!夢野久作「少女地獄」ですよ!

夢野久作 少女地獄青空文庫で読めます)

 

「少女地獄」は夢野久作の短編小説集なのですが、このPVはその中の一つ「なんでもない」をモチーフにしているようです。

 

「なんでもない」に登場する「姫草ユリ子」という女性がとても魅力的だったので紹介します~

 

「なんでもない」あらすじ

 

とある病院を経営する医者(主人公)の元に姫草ユリ子という19の女性がやってきます。

 

ユリ子は主人公の元で看護士として働き始め、非常に優秀でした。

また、ユリ子は美しく愛嬌があり、周りの人々から愛される女性でした。

 

しかし、ユリ子の言動には不審な点が多々ありました。

主人公が警察の手を借りて彼女を調べたところ、彼女は大変な虚言癖であった…と言う話です!

 


⚠️ここからネタバレ注意!⚠️

 

 

ユリ子に整形を施した主人公

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個人的に気になる点その①

 

主人公はユリ子を採用してすぐに鼻の整形を施してやりました。

「ちょ〜っと鼻いじってやったら可愛くなるな〜」みたいな軽〜い気持ちで。

 

主人公の期待通り、ユリ子ちゃんの美貌はより増すんですが、それが彼女をよりつけ上がらせることになってしまいます。

 

ユリ子の可愛いお顔と華麗な仕事さばき、そして息を吐くように自然に嘘をつかれることによって人々は惑わされていくのです。

ユリ子の整形は物語の始まりと言えますね。

 

この後、主人公はユリ子の嘘に翻弄されていくことになるのですが…

 

ユリ子は少女性を求めていたのかもしれない

 

個人的に気になる点その②

 

ユリ子の嘘つきは生理のときだけというのがとても奇妙ですね。

主人公は生理的憂鬱による発作的精神異常だと診断していました。

 

この生理というモチーフがとても面白いです!

 

少女地獄というタイトルはかなりパンチがありますが、このタイトルのおかげで、ユリ子の虚言癖は少女願望から来ているのか…?と思いました。

 

生理は大人の女性の象徴ですし、姫草ユリ子という偽名臭いネーミングも白百合=清純の象徴ですし…それに年齢もサバ読んでますよね。

実際はアラサーなのに19歳という嘘を信じ込ませていたユリ子がすごい。

 

ユリ子の嘘

 

そうそう、ユリ子の嘘ってなかなか面白いんですよ!

 

自分はいいとこのお嬢さんなんです〜とか、兄が高級カステラ持ってきてくれた〜とか。

ひどい嘘だと俳優とデキちゃったの〜とか、主人公と温泉に行って甘い時間を過ごしたとか…

 

ユリ子の嘘の面白いところは誰かを陥れないところです。自分は誰々に愛された、求められた、心配されたという嘘はつくけど

 

◯◯さん、実は隠し子いるんだって〜wwwとか

◯◯さんって人を殺したことあるって噂があってぇ…

とかは言わない。

 

言うとしたら

◯◯さん、実は隠し子がいるらしいんだけど…実はその子…私との子供なのよ…♡

とか

◯◯さんって人を殺したことがあるって噂だけど…実は私の母を殺したの…(号泣)

とかだと思います。

 

要は嘘の方向が自分に向かっているのです!

 

そしてユリ子はいい子で可愛くて健気なキャラをアピールするために嘘をついています。

 

ユリ子ワールドの中では、ユリ子は主人公からも、警察からも、前の職場の人からも求愛されていて、もう困っちゃうくらい魔性なのです!(実際は求愛されてないけど)

 

可愛くて、いい子で、清純で、仕事ができ、皆から愛され頼りにされる優等生。

でも裏ではたくさんの男たちを惑わせる魔性もあるという…堀ユミ子(本名)はそのような少女に憧れていたのでしょう。

 

そして、そういう風になるための手段がたまたまだっただけです。

 

“理想の少女像”を演じたユリ子

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ユリ子ほど美意識が高く、想像力豊かな人からすれば、モンシロチョウの人生なんてお前らの人生退屈すぎて、羽なんてあってもなくても同じじゃね?ぐらいのモンです!

 

この毒々しさが少女の危うさそのものだと思いました。

 

ユリ子は自殺する時すら美しく化粧して、メンヘラ臭い遺書を置いて逝きました。

死ぬ時も美しく、誰かの記憶の片隅に残るような。

 

ユリ子は自身が信じる少女像を全うし、美しく散っていったのです。自分の作品に責任を持った結果です。

 

文中にある、

彼女は罪人ではないのです。一個のスバラシイ創作家に過ぎないのです。

この一文がユリ子の生き方を表していると思います。

 

彼女の振る舞いは確かに周りを困惑させましたが、彼女は周りを困らせたくて嘘をついたワケではないでしょう。

 

ユリ子は美しい少女のままでいたかったのでしょう。

 

彼女なりに納得がいかないこともあったと思います。

年をとっていくことへの恐怖感。自分が思い描くような美人でも、男を惑わす魔性もない。

実家は田舎の貧乏な家。全然ドラマティックじゃない。

 

そんなの面白くも美しくもない。

堀ユミ子はきっと自分の平凡さにガッカリしていたと思うのです。

 

でも嘆きません。なぜなら理想の少女像になればいいからです!理想の少女像を演じている感覚です。こうして姫草ユリ子は誕生したのでしょう。

 

意味深なタイトル「少女地獄」

 

一つ嘘をつくと辻褄を合わせるためにさらに嘘をつく。嘘に嘘を重ねて、塗り固めて、気がつけば身動きができなくなっている。ユリ子の人生はパッと見、嘘地獄ですね!

 

一般的に、真実ではないことを語ることはと言われます。

 

自分の名は姫草ユリ子といい、19歳であり、いい家の育ちで、たくさんの男性から愛される…これらは真実ではありません。一般的に言えばこれはは全てです。

 

でもユリ子からすれば“嘘”ではないのです。ただの妄想です。

 

というか、嘘とか真実とかをいちいち決めつける方がナンセンスです!!!

 

ユリ子の頭の中は「少女とはこうあるべきである」という高い美意識、美学があったのでしょう。彼女はそれに基づいて行動したら、たまたま現実(堀ユミ子)と違ってしまうところがあった。ただそれだけの話。

 

それが嘘だ嘘だと周りが邪魔するんだからメーワクなのはユリ子の方です!

 

物語や漫画を読んで、皆さんは嘘だ、と思いますか?

そもそも作られた話に嘘か誠かの概念なんてあるのでしょうか。

  

「なんでもない」の意味

ユリ子の遺書には

社会的に地位と名誉のある方の御言葉は、たといウソでもホントになり、何も知らない純な少女の言葉は、たとい事実でもウソとなって行く世の中に、何の生甲斐いきがいがありましょう。

 

私の言うこと全然信じてもらえないし…もうこんな世の中クソ…みたいな内容ですね!ユリ子は警察に尋問を受けた際、一度は自身の虚言癖を認めていたのに結局、死ぬ時もワイは嘘ついてねーし!という態度を貫くのが姫草ユリ子って女です!

 

 

でも堀ユミ子の物語の中では姫草ユリ子は嘘つきのレッテルを貼られた、哀れな少女なのでしょう。俗世に傷つけられ、これ以上傷つけられるならいっそ美しいまま死ぬ…これがユリ子の美学です。

 

堀ユミ子は立派だと思います。

 

どんなに周りから呆れられても嫌がられても、自身の憧れに愚直に生きたのです。嘘から逃げたのではありません。空想世界を完結させただけです。

 

少女とは儚く脆く、哀れな生き物であること、そのことをユリ子は身をもって表現したのです。

 

ですから、ユリ子に死はありません。そもそも姫草ユリ子は実在しません。嘘も真実もありません。

 

姫草ユリ子の死は世間にとっても、本人にとっても、「なんでもない」のです。

mavo.takekuma.jp

小説苦手だよ!って人にはこちらの漫画がオススメです!

儚く脆そうな絵柄が夢野久作ワールドにピッタリでした。ユリ子が怪しく美しく、とっても魅力的に描かれています!

 


以上!!!

うわぁ〜この話のタイトルに「なんでもない」つけた夢野久作やばい
気になった方は是非読んでみてください!